【依存症 Vol.1】 こわい?関係ない?- なぜ依存症になるのか
【依存症 Vol.2】 自分を調節するということ
前回【依存症 Vol.2】では、自分を調節するということ、また、自分を調節する能力はどのようにして身につくのかをお話ししました。
これに関連して、依存症に至る人の背景を知る1つの研究があります。
薬物乱用の危険の高い子供の条件として、幼い頃から切れやすい性格などの遺伝的な要素や、周囲に薬物を使っている人がいる、薬物が手に入りやすい などの環境的要因もありますが、そのほかの重要な要因に、幼い頃から家庭の中が不安定で家庭に居場所がなかったり、学校の授業や部活についていけず、学校に居場所がないなど、心理的な孤立があります。
つまり、家庭では両親 祖父母、学校では担任や養護教諭 などといった、自己調節のキーパーソンとなる安定した大人との関わりの不足により、自己調節の不全が生じるのです。
自分のつらく苦しい感情を調節できないと、普段の生活で様々なストレスにさらされやすくなります。
さらに、人に頼って調節すべき ツライ気持ちを、他者に対する根深い不信感から、他人を頼ることもできません。
そんな右も左も向けない苦しい状況の中、たまたま出会った薬物が辛い気持ちを一時的にでも楽にしてくれた。
そんな経験から、人に頼らず、自分1人だけで 簡単に辛い気持ちをコントロールできる これらの方法を、生きづらさや 辛い気持ちに対する自己治療として、習慣的に使用するようになるのです。
つまり、薬物などの物質や 嗜癖行動は、自己調節機能の障害により、感情の荒波を上手に泳げず溺れかかっている人が、生きるために必死につかまっている浮き輪のようなものなのです。
なので浮き輪を強制的に奪ったとしても、近くをたまたま流れてきたドラム缶、つまり、その他の薬物やギャンブルなどの行動にしがみつく状態になります。
これを、クロスアディクション といいます。
次回は 依存の成り立ちについてまとめています。
つづきはこちら
→【依存症 Vol.4】 依存症の成り立ち
前回までのお話はこちら
→【依存症 Vol.1】 こわい?関係ない?- なぜ依存症になるのか
→【依存症 Vol.2】 自分を調節するということ
▼ 動画で話を聞きたい人はこちらからどうぞ
【依存症 Vol1~4】の内容を、10分ほどでまとめています。